アイウィル 社員教育 研修日程

コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2014年4月号「講師控え室 62

 

今から十五年前に東京・池袋で通行人に男が包丁やハンマーで襲いかかり、我が子を庇う母親などの死者・重軽傷者を出した事件があった。

その後も東京・秋葉原で歩行者天国にトラックで突っ込んだあと、通行人をナイフで刺す事件があった。

そして今年二月二十四日、名古屋駅近辺で白昼車が通行人の中に突っ込んで、十三名ものケガ人を出した。

日本だけでなく海外でも銃乱射事件などが多発しているが、なぜ、このような無差別殺人が跡を絶たないのであろうか。犯人に共通しているのは「殺すつもりだった。誰でもよかった」という“動機”である。これでは名刑事の出番がない。犯人を精神病者として片づけてしまう。

しかし取り調べで話を交わしていると、普通の市民と変わりない。こんな大それたことをした犯人とは思えない……。

こうした無差別殺人の犯罪の動機は、どうやら脳の中にあるようである。

脳の中に前頭前野という部分がある。この部位はどういう働きをするかというと、言葉によるコミュニケーションを図ったり、「~をしてはいけない」というような行動を抑制する働きがあるそうだ。人間らしい生活を送るためになくてはならない重要な部分である。

どうも、その前頭前野と働きの衰えている人が増えている。だからすぐに自分の感情のまま衝動的に人を刺したり、キレたりするのであろう。

こうした人を犯罪者にしないためには、前頭前野を鍛え直すしかない。ではどうすれば健康な前頭前野にすることができるか。方法はただひとつ、読み書き計算の徹底。

私の想像だが、無差別殺人犯は本を読まない、文章を書かない、計算をしない生活を子供のころからずっと送ってきたのではないか。もちろん学校で読み書きはするがつねに最低限の質量で、大半の時間、パソコンやゲーム、ケータイ電話と向き合っていたのではないか。

パソコンとケータイと電卓、それにゲーム機、これらが人間の脳に悪い影響を与えることは学者の研究でも報告されている。

読み書き計算をしないと前頭前野が退化して小さく固くなる。それにパソコンやケータイが一層悪化の拍車をかける、野性の動物並みの脳になる。相手は誰でもいいと襲いかかる……。

さて前頭前野の退化は無差別殺人犯だけか。私たち全員に当てはまる問題である。

犯罪は犯さないまでも、ささいなことで怒り凶暴になる。深く広く考えず一途に思い込んで反対のデモ行進をする。正義の旗を振る。自己抑制できず幼児のように泣き叫ぶ。

前頭前野を鍛えよう。大量に読み大量に書き、大量に計算することによってそれができる。研修生の皆さん、あなたが毎日取り組んでいる課題がまさにそのもの!(坂口英生