アイウィル 社員教育 研修日程

コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2014年5月号「講師控え室 63

 

公益財団法人日本生産性本部は新入社員の特徴を短い言葉で毎年発表しているが、平成二十六年度の新入社員は「安全運転の自動ブレーキ型」だそうだ。

情報収集力に優れ知識豊富で敏感。しかし就職活動も手堅く進め、そこそこの内定を得ると、壁にぶつかる前に活動を終了。何事も安全運転の傾向がある。人を傷つけない安心感はあるが、どこか馬力不足との声もある。どんな環境でも自在に運転できるようになるには、高感度センサーを活用した開発(指導・育成)が必要、ということ。

私の弟は二十二歳。四月から新社会人としてスタートした。大筋は「自動ブレーキ型」と認める。同居していて私が感じたことであり、弟も「そうかもしれない」と言っていた。

無理をしなくても進学進級できた時代。少人数制の学校授業によって先生から手厚く保護されてきた。受験戦争下でも少子化によって受け入れ校の門口がせばまることがなかった。ガツガツと競争せずとも生きることができた。

加えて、日本の将来を明るく見えない世代である。バブル崩壊後の日本しか知らない。皆が懸命に働けば日本が豊かになるとは考えない。低所得低賃金、高齢化社会などから働くことに意義が見出せない。また非正規雇用者の増加。仕事への危機感がない。仕事をしなくても親などがずっと面倒を見てくれると安心している。

この環境と社会現象が今の十八~二十二歳の若者たちの精神を作り上げた。もちろん、ゆるくて甘い親のしつけ、人権尊重と個性重視の学校教育の影響も無視できない。もっともこれは今年だけではなくここ十年同じ傾向であり、平成十五年は情報取り込みは速く正確だが、実力不足の「カメラ付きケータイ型」、平成二十年のブラシでこすってやらないと減速する「カーリング型」なども似たようなものである。

今、新入社員教育に手を焼いている上司が多いだろう。考え方が通じない。熱意が感じられない。自分から動かない…。

しかし、新入社員の思考や行動を作り出したのは社会であり私たち大人である。

会社の景気は回復基調にある。しかし平成の初めのバブルのころのように努力しなくても売れる世代は二度とこない。新人が安全運転で馬力不足のまま何年も会社におんぶでは困るのだ。

上司は新入社員教育に責任を持とう。「理解できない」などと距離を置かず。間近に肉迫して、わが子は入社したと思って仕事を覚えさせる。新人がどんなタイプであろうと、本気で迫れば人は変わる。鬼となって厳しく、ビジネスの基本を叩き込む。(正木 元