アイウィル 社員教育 研修日程

コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2015年5月号「講師控え室 75

 

交易社団法人日本生産性本部は新入社員意識調査を毎年行っている。

「条件の良い会社があれば、さっさと移る方が得だ」という設問に対し、「そう思う」とする回答が、ここ十年の調査で最高の四五.三%となった。

「残業が少なく、平日でも自分の時間を持つことができて、趣味などに時間が使える職場を好む」との回答が七〇.一%。この十年では二番目に高い。

いずれも、働くということに対して、お金と時間を重要視している。もっと言うと、自分本位の意識が強い。

今の学生は権利・自由・平等を強く主張する。

自己中心的な考えを肯定する教育を受けてきている。損をしたくない。自分の時間を犠牲にするのはご免である。

そもそも入社したての自分の置かれた立場をわかっていない。新入社員とはどんな存在か。仕事はできない。知識や技術もない。当然、利益を生み出すこともできない。会社ではまだ何もできない存在。一人前になるまでには、皆様に養ってもらっている身である。

勘違いしている人が多い。最初の給料をもらった時、「自分で働いて稼いだ」などと胸を張る人がいる。冗談ではない。まだ何もできず、売り上げも上げることができず、利益を生み出せない人が、何が「稼いだ」だ。

新入社員の給料は、先輩社員や上司が生み出した利益の中から、給料が支払われるのである。

新入社員は毎日会社に行って仕事を教えてもらっている状況にある。

一人前になるまでは職場は「学び」の場である。それを八時間会社にいるからお金をもらえるのは当然と考えている。学生時代のアルバイトと同じと考えている。時給いくらの仕事ではないことをわかっていない。

会社は何もできない新入社員に先行投資しているのである。一人前になるには二年、三年かかる。それまでは養われている身。これをわからない新入社員は不遜である。

「条件の良い会社があればさっさと移る」「残業が少なく平日でも自分の時間を…」というのは、何もできない自分の未熟を自覚していないガキデカの言うことである。

何もできないのは仕方ない。先輩や上司も最初はそうだった。何をすべきか。早く一人前になることだ。定時で終わった後に学ぶ。仕事を覚える。周辺知識を吸収する。人間性を高める。自分の時間を有効に使うとは、そういうことだ。ここはアメリカではない。(兼頭康二