アイウィル 社員教育 研修日程

コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2015年8月号「講師控え室 78

 

「トウ、ガン、キュウ、コウ、サイ、…」。トイレから、お経のような声が聞こえてきた。声の主は小学二年生の娘である。

「何を言ってるの」と聞いてみると、「トイレに貼ってあったでしょ」と言う。改めてトイレに入ってみると、便座に座った時にちょうど目につくよう、正面の壁には九九の表と漢字の表が貼ってある。

そういえば、三ヵ月前には一所懸命に九九を唱えていた。それこそ、食後、トイレ中、入浴中…と時を惜しんで「インイチガイチ、インニガニ…」と何度も何度も繰り返していた。そして九九全部をクラスで三番目に覚えたと誇らしげに言っていたのを思い出した。

今回は、小学二年で習う漢字一六〇字の勉強であった。

お経のように聞こえたのは、漢字の読みを表にそって、二画の字から順に「刀、丸、弓、工、才…」と覚えていたのだ。

アイウィル研修では、文章を暗唱する課題がある。最初の第一ステップである三日間の合宿研修から練習をスタート。わずか三日間ながら、結果に差がつく。もちろん覚えるのが得意な人もいれば、不得意な人もいる。不合格で終了してしまった人は悔しい思いを胸に研修所を後にする。

しかし、ここから六ヵ月間の第二ステップ研修で、変化が見られる。悔しい思いをバネに必死に練習する人は、確実に一ヵ月以内に四〇秒を切ってくる(最初の合宿研修での合格ラインは六〇秒以内である)。

一方で、自分には難しいのではとマイナス思考になっている人は、なかなか前進しない。練習に身が入らない。

結果、最後の完成合宿では同じ不合格で悔しい思いをした者でも、トップに食い込んでくる人と合格基準に満たず修了できない人とに分かれてしまう。

暗唱は、頭の良し悪しは関係ない。得意も苦手もない。子どもが九九や漢字を覚えるように、繰り返し声に出し唱える。先号のこの欄で小川が指摘しているとおり「大きい声で速く読む。これを見ないで言えるようになるまで繰り返す」なら誰でも合格できるのである。

これは仕事へ向かう姿勢にも顕著である。自分の苦手とする仕事には二の足を踏んでしまう人がいる。一方、自信はないがまずはやるしかないと前向きに取り組む人がいる。

大抵の仕事は「何をすればいいか」「どうすればいいか」の”やり方“は解っている。そのやり方でやるかやらないかである。不合格者はやらなかった人であり、仕事ができない人も素直に行動しない人である。この、ほんの小さな積み重ねが人生の大差になる。(坂口英生