アイウィル 社員教育 研修日程

コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2016年1月号「講師控え室 83

 

兵庫県姫路市に夢菱〈ゆめびし〉電機という会社がある。

夢菱電機は、役職者全員にアイウィルの研修を受けさせている。それも同じ社員に同じ研修を何度も。

それはひとえに代表取締役会長の田中周造氏の意向である。田中会長は会社の存続と発展のために人材教育は欠かせないという信念を持っている。

研修開始前、会社独自のペーパーテストを実施する。問題は二百問以上にもわたる。社員は理念、方針、哲学などが綴られた冊子を事前に渡され、予習して臨む。三十ページ近い膨大な情報量だ。それを一字一句違えず隅々まで覚えテストに挑む。

会長は「百点取って当たり前、九十九点は不合格」と言う。仕事は“完璧”でなければ、いずれ綻〈ほころ〉びを生ずる。それは万事に通じる。だから百点以外の社員には容赦なく雷を落とす。

しかし社員は決して弱音を吐かない。歯を食いしばり、並々ならぬ強い意志で闘う。

そう、闘うのだ。要求が高かろうが、無理難題が立ちはだかろうが、決して後を向かない。逃げ出さない。

なぜか。それは社員がみな会長の思いを理解しているからである。会長は社員の人生の充実を願っている。社員の幸福を願っている。そのため仕事ができる人間になり、まわりから信頼される人間になってほしいと真剣に願っている。

それが解っているから研修生は会社のため、会長のために己と闘う。

研修で社員は必ずと言っていいほど、涙を流す。「今まで何と情けなかったことか」「上司やトップの思いを踏みにじっていた」と慚愧〈ざんき〉の念を吐露する。研修を重ねても、この涙は消えない。

それは、成長する度に新たな気づきが生まれるからである。前に進めば、一段上の問題点が見つかる。その問題点を自分で見つけ、克服してほしい…。ここに同じ研修を何度も受けさせる理由がある。

一回の研修で十二名。計七回実施。それを五サイクル行う。これだけで延べ四百二十名。加えて、協力会社の社長まで研修に参加させている。すべて夢菱が負担。膨大な時間と費用がかかる。まさに社運を懸けた一大プロジェクトだ。

会長は初日と三日目に終日研修を参観する。三日目、社員は課題に合格すると一目散に会長のもとに駆け寄り報告。泣き崩れる。会長も満面の笑みで社員を「ようやった」と讃える。

夢菱の研修に携わる度に、経営者の凄まじい覚悟と社員を思う強い“気”に圧倒される。

また、その期待に応えようと必死に努力する社員からも凄まじいオーラを感じる。(横谷大輔