アイウィル 社員教育 研修日程

コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2016年5月号「講師控え室 87

 

地方の研修所では色々な他団体と一緒になる。先日、岐阜の研修では少年サッカーチームと、高校生の団体と一緒になった。

我々はいつも通り大きい声で挨拶をする。

昼食時、サッカー少年や高校生が先に食べていた。我々は「失礼します」と挨拶して食堂へ。まずは手前に座っていたサッカー少年達がビックリした。その横を「こんにちは」と挨拶して通る。子供達も挨拶を返す「こんにちは」元気よく返してくる。そのまま今度は奥の高校生達に「こんにちは」と挨拶。高校生はニヤニヤして渋々挨拶を返す。小さい声でうつむいて「こんにちは…」と。

夕食時、いつも通り「失礼します」と研修生が入室。すると今度は子供達から先に大きい声で「こんばんは!!」と挨拶された。研修生も負けずに挨拶を返した。しかし高校生の団体は挨拶できない。相変わらず数人が小さい声で返すのみ。引率の教師たちも苦笑い。先生でさえも挨拶できない。

高校生やその先生は、まるで挨拶している人がおかしいかのような目で見る。最初はサッカー少年も高校生も挨拶できなかったから、アイウィルの研修生だけが浮いていた。しかし子供たちがするようになり、高校生だけが挨拶できない浮いた存在、いや沈んだ存在になった。

研修で特に力を入れているのが「自分から挨拶」である。同じ研修生、講師、食堂の人、掃除の方、フロントに立っているスタッフなど、全く知らない人にも“自分から”を徹底させている。すると挨拶することに対して徐々に抵抗がなくなる。

自分から挨拶というのは、自分の心を開くということ。「挨」という字は「押す」という意味があり、「拶」という字は「迫る」という意味がある。言葉自体は中世に日本へ輸入された漢語であり、元来、禅宗において問答を繰り返すという意味。

自分から挨拶ができると、相手も心を開く。先輩や上司が興味を持つ。良い人間関係を作ることができる。

二十代から六十代の大人を対象にした調査で「家族に挨拶をするか」というアンケートに「いいえ」と答えた人は三十・六パーセント。十人に四人は家で挨拶しないのだ。

家で挨拶をしない家庭で育ってきた人が外で挨拶するわけがない。つまり幼稚園や小学校、そして家庭ではよく挨拶をするので、挨拶することに抵抗はないが、高校、大学と年齢を重ねるにつれて、だんだん距離ができて、社会人になると「しないことが普通」になっていく。しないことが“習慣”になる。研修で家庭教育の再教育は一本の柱である。
兼頭康二・横谷大輔