アイウィル 社員教育 研修日程

コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2017年7月号「講師控え室 100

 

囲碁棋士である井山裕太著の『勝ちきる頭脳』(幻冬舎)は面白かった。井山裕太は十二歳でプロ棋士となり二十歳で史上最年少名人になった。

二〇一六年四月には囲碁界史上初の七冠同時制覇(棋聖・名人・本因坊・王座・天元・碁聖・十段)を成し遂げた。囲碁を打たない人でもニュースなどで名前は知っているであろう。

井山というスターや女流本因坊になった十八歳の藤沢里菜の登場で、囲碁がブームを迎えている。また東大、千葉大、慶応大、早稲田大など全国の二十一の大学で囲碁が正規の授業になっている。幼稚園や小中学校でも活発に行われている。

十八ヵ月間経営者養成研修では囲碁が必修課題である。経営者になぜ囲碁なのか。

囲碁は集中力が身につき、創造力を育み、発想が豊かになる頭脳ゲームである。先見性と大局観は経営者に求められる最重要能力である。

井山氏は「定石を覚えると囲碁は上達する」という考えを肯定も否定もしていない。これには驚いた。定石とは、この通りに打っていけば間違いないという基礎的な配石で、囲碁のマニュアルである。しかし、定石とはあくまで部分的な打ち方のマニュアルで、いくら部分的には良い手であっても、全局的には疑問手となってしまうケースがあると井山氏は言う。

つまりは、囲碁は常に全体を視野に入れた上で、打つ手を決定するゲームなので、定石どおりの手を打つことよりも、その定石が全局にマッチしているかどうかの判断の方が重要なのである。だから目先のことだけでなく、大局観が養われていく。

仕事でも状況が入り組んでくると、とかく目先のことに捉われてしまう。しかし、目先の部分的なところを攻撃しても全体の状況は好転しないことが多い。私はまだ下級者だがこの本で囲碁の本質、奥深さを知ることができた。

経営者研修では、囲碁未経験者がほとんどである。皆、囲碁のルールから覚える。一通りのルールさえ分かればすぐに打てるようになる。大半が半年、一年でメキメキと力をつける。

上達している人に共通しているのは、対局数が圧倒的に多いこと。囲碁講師の「囲碁文化継承の会」理事長の山下功氏も井山氏も「普通の人なら百局打てばアマ初段程度になれる」と同じことを言っている。

今は便利な世の中で、碁会所へ行かなくても、ネット上で世界中の人たちと対局できる。全国にいる研修生も、日々、ネット上で対局している。

興味のある方は、ネットで『INGO』と検索すれば簡単に入会し対局できる。(坂口英生