アイウィル 社員教育 研修日程

染谷和巳の『経営管理講座』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

 

「経営管理講座 319」   染谷昌克

 

 

新米社長のご挨拶

経営管理講座

 

染谷和巳から「新社長挨拶は一面でしたほうがいい。書けるか」と聞かれた。私は「書きます」と即答した。五月八日、ジャッカス(社員打合せ用の指定居酒屋)での創立二十八年にして初めての公式の幹部会議でのことだった。この文章を社員はみな「お手並み拝見」という気持ちで読むだろう。

 

 

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新社長の基本姿勢は「守成」

染谷主宰は言う。会社は田んぼである。会社経営の目的は企業存続。代替わりしつつ連綿と続けることが会社経営である。

アイウィルも代替わりの時期が来た。平成二十七年六月一日付で新社長は私、染谷昌克。前社長の私の父は七十三歳で主宰という役職に退いた。

田んぼの打ち手が代わった。どんな稲が実るのか。

社長就任後、数名のお客様から「ちょうどいいタイミングだ」「遅すぎたのではないか」という言葉をいただいた。ということは、面と向かっては言われないが、当然「まだ早い」との声もあるはずである。

私の就任決意は「変わらない」である。代が替わると先代と違うことをやりたがる経営者も多いが、私は創業者のやってきたことを愚直に続けていく。

もともとアイウィルの研修は、主宰の考え方や価値観を形にしたものに基づいて作られている。お客様も、トップがその考え方に賛同してくださっている方々である。これは絶対変えてはならない。会社の方針や研修の方向性を変えるということは、アイウィルではなくなってしまう。またお客様の信頼を裏切ることになる。

主宰はこう言う。

 

後継者はどうあるべきか、その原則を考える。

一、後継者は現場の第一線で汗を流し、油にまみれるところから出発せよ。社長はスタートにおいて後継者を一兵卒に配置すること。

二、後継者は一兵卒として抜群の成績をあげよ。社員は後継者を「ぼんぼんだから根性がない。すぐ音をあげるだろう」と皮肉な目で見ている。そのとおりの結果になれば将来が暗い。「なかなかやるじゃないか。できる人だ」という評価を得ておくこと。社員の支持はいざ社長になった時に威力を発揮する。

三、後継者は誰よりも社長に従順であれ。社内で甘えて社長に粗略な態度、乱暴な言葉遣いをする人がいるが見苦しい。後継者は社長にどんなに丁重にかしずいても違和感はない。

四、社長の命令には絶対服従せよ。鍛えるため、育てるために社長は試練の場を踏ませようとする。それがいやでも辛くても決して逃げてはならない。もちろん、反抗して拒絶するなどあってはならない。

五、たとえ規模が小さくても先代が作ってきたものを否定しないこと。子供のほうが力があって新分野に乗り出して成功したとする。その時でも「社長は古い」と調子に乗ってはいけない。自分を生み育ててくれたもの、成功の土台となったものを尊重する姿勢を失ってはならない。

社長は次代にバトンタッチしたいと思っている。それにしてはまだ甘い、線が細い、人間的魅力に欠ける、根性がない、仕事より遊びに夢中…まだ無理だ。ではいつになったら…後継者は社長のこの心中を察し、一日も早く自分を信頼できる人間に仕立て上げ、社長の手から卒業証書を受け取ろう。 「新帝王学」

 

染谷昌克の基本方針は「守成」である。

 

どうやって証書をもらったか

私がアイウィルに入社したのは平成十年、三十一歳の時である。

以前は、エステティックサロン経営のA社に勤めていた。全国に五十七店舗あり従業員は二千名ほど、業界でも大手五社に入る規模だった。

男の私が施術をするわけではない。私の仕事は店舗の運営管理。当時はアイウィルに入社するつもりはなく、A社に骨を埋めようと思っていた。

A社に適用される法律が改正された。それを機に業績は急降下。管理者への給料遅配が始まった。半年経つと一カ月の遅配になった。

生活ができず実家からお金を借りた。父親には内緒のはずだったが、そうもいかない。

何カ月か続いたとき、父親から話があった。「A社はあと一年で倒産するぞ。おまえが丁稚から始めるんだったら、アイウィルで使ってやってもいい」

当時私はA社の営業部長、組織上は二百名以上の部下がいた。会社の業績も縮小路線で乗り切れる見通しだった。

アイウィルにはすぐに返事をしなかった。

一カ月が経ちA社は六本木に大型店舗のオープンを決めた。私の反対案は却下された。

丁稚になる覚悟を決めた。

A社はこの二年後に倒産した。

雑用が五割、助手の勉強、営業の勉強、パソコン。やることはたくさんあった。覚えている限りでは、とにかく汗をかく仕事が私の仕事だった。

当時の審査員矢内に「三年間は何も言わず、黙ってがまんしなさい」と心得をいただいた。毎日黙って汗をかいた。

後継者として入社したわけではなかったが、アイウィルの社員は数名を除き、私の入社を快く思っていなかった。

入社二日目、講師同士で飲みに行った。上司は「染谷君の悪いところを挙げなさい」と若手講師に指示をだす。それを先輩たちは、ここがそこがと指摘する。今日初めて会った人もいた。講師としての人を見る目の訓練なのか。私は嫌がらせとしか感じなかった。こんな”イジメ“が数多くあった。

講師の勉強は、畠山の研修を完全コピーした。毎日二時間、休みの日は六時間以上、畠山の講義をテープにとったものを聞き続け実戦でまね続けた。これは入社してから三年間続けた。講師としての実力が飛躍的についた。一年で助手から第二講師になり、三年経たずに担当講師まで昇格した。

三年過ぎて「一番辛い仕事は自分がやろう」と心に決めた。顔を見合わせてしまうような仕事は、率先してやった。無理を承知で突っ走ることもあった。身体を壊したこともあった。

周りが一目置く存在になった。古参の社員から「あなたが後継者なんだから」という声も聞こえてきた。

結婚し子供ができた。結婚、子供は講師としての仕事の幅を広げてくれた。守るべきものができ、当然仕事に力が入った。

入社十年が過ぎてからは、講師に私のやってきたこと、考え方を教えた。事あるごとに、口うるさく言った。時間はかかったが、その中から三人の取締役が出たことは嬉しい。

私は十六年間をアイウィルで戦ってきた。決して満点ではなかったが、なんとか主宰に後継者の証書を発行してもらった。

 

新米社長としてやるべきこと

実際に社長になった今なにをすべきか。アイウィルは変わらないが、私自身は変化成長しなければならない。

私のやるべきことは

 

一、社員の模範となる

社員の模範となる基本行動をとるべし。トップがだらしなければ社員もだらしなくなる。礼儀、言葉遣い、態度、姿勢、服装、身だしなみなど基本が大切である。また読む、書くといった能力も人より劣っていてはならない。

二、話し方を磨く

トップは指示命令者であり、説得説明者である。したがって言語は明瞭、話し方がうまくなくてはならない。

三、問題発見の目

職場の内外には問題がごろごろ転がっている。それを発見する目を養うべし。そして問題の本質をとらえ、事のよしあし、問題の大小、緩急の度合いを正しく判断する力が必要。

四、決断と行動

決断と行動のひとであるべし。思考と迷いの末になお決められない。またすぐ決めるべきが遅れる。これは経営のネックとなる。「決定に要する時間」を短縮すべし。

五、常識的でない考え方

深く考える、広く考える、柔軟に考える。は頭脳を活性化させ、新しいこと、人が考えないことを考え、新しいものを創り出す力を養わなければならない。

六、先見力

トップは未来を予測する力、先見力、見えないものを見る力を身に付けなければならない。

七、人格と品性

組織のリーダーとして、集団を預かる責任者として、ふさわしい人格と品性を養わなければならない。 「新帝王学」

 

社長就任後、経営者養成研修の総合指導顧問の亀井社長にお会いした。「二代目は、何事にも周りの人が気の毒がるほど徹底的に取り組め」と言葉をいただいた。

私は七つの項目を、気の毒がられるほど徹底的に磨いていく覚悟である。

今後も変わらず、株式会社アイウィルと新米社長へのご指導をよろしくお願いいたします。