アイウィル 社員教育 研修日程

 

コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2018年5月号「講師控え室 110

 

大阪府にある富士電線工業株式会社。毎年三月にこの会社の新入社員研修をアイウィルが請け負っている。

富士電線工業は、昭和三十年創立の伝統ある会社。全国の配電用電線をはじめ、ケーブルやコードなど、我々の暮らしに必要不可欠な電気の供給の基礎を支える会社である。

研修は、奈良県の信貴山で実施。「奈良百遊山」の一つで、毘沙門天〈びしゃもんてん〉総本山。聖徳太子が「信ずべし、貴ふべし」と言ったことから名がつけられた。歴史的にも古い。

総務部課長の牛田耕治氏は、この地を選ぶ理由をこのように述べている。

「会社には会議室があり、そこでも研修はできます。しかし信貴山のような霊峰で、非日常的な環境に身を置くことで、精神的にも鍛えられるのです。新入社員研修以外にも、社内研修を実施する時は、この信貴山を使っています」

徹底した信念を持って、社員教育を行っている。新入社員研修時には、牛田課長は三日間付きっきりで新入社員の成長を見守っている。「社員は命」と常々明言しているが、その思いがよく伝わってくる。

富士電線工業の研修には、通常研修にはないカリキュラムが組み込まれている。それは社歌と社是の暗唱審査。入社式前の段階で社歌と社是を覚えさせる。研修生は、最初は意味もわからず唱えている。しかし練習を重ねると、不思議と社歌と社是には気が込められてくる。これも会社の狙いの一つである。

社歌や社是は会社の背骨。創業者の想いが詰まっている。これらを精神に叩き込むことにより、入社前から「社員の一員」という意識を植え付ける。入社式がビシッと決まるそうだ。

研修初日、研修生はお世辞にも意識が高いとは言えない。だらしない、声を出さない、注意されると不満な表情を見せる。やりたいことには没頭するが、苦手なことや面倒なことは尻込みして行動に移さない。失敗を恐れて挙手発言しない。三日間で社会人としての基礎を徹底的に鍛える。三日目には顔つきが別人のように変わっている。

近年の新入社員は弱い、自分勝手と言われているが、それは本質的には違う。何も知らないだけで、正しいことをきちんと教えれば、実行する力はある。

伝統ある会社、伝統を将来に残そうとする会社は、人を大切にする。会社で人を育てる。時代に合わせることも大事だが、人が育たなければ時代に合わせることもできない。

最近、引率社員がついた。平成二十五年に新入社員研修を受けた人だ。今は総務部のホープだという。人が育っていることを嬉しく思う。(横谷大輔