アイウィル 社員教育 研修日程

コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2017年9月号「講師控え室 102

 

携帯電話を忘れて家を出た。それだけで不安になった。

電話がかかってこないだろうか。大事な用件のメール確認ができなくなるのではないか。周りの人に不便な思いをさせるのか。もしものケースを考えては切りがない。

ただ、携帯電話の番号やメールアドレスは「私」という個につながる専有の連絡先。携帯電話によって私自身につながる道具だ。携帯電話がないだけで、私と周囲とのつながりが途絶えてしまう意味にもなる。

二〇一六年には携帯電話(今は大半がスマホ)の契約者数は一億六千万件を超えた。私たちは日本国民の人口を上回る台数を利用している。

持っていることが常識。持っていないというのはありえない。そのため、私が携帯電話を持ち忘れて出社しただけで問題にもなる。「本日、正木携帯電話なし」のメールが社員全員に送信される。

現代人の大半は携帯電話に依存している。いや、持つことで手放せなくなった情報化社会に生きている。

次の携帯依存症チェックをしてほしい。

①携帯電話を忘れて外出すると帰宅するまで不安になる。

②電波がない店や場所には長居をしたくない。

③電車の優先席付近でも電源を切らない。

④着信があったら電車内でも、とりあえず電話に出る。

⑤仕事中でも携帯電話をチェックしたくなる。

⑥仕事中でも携帯電話を見える位置に置いている。

⑦電車やバスに乗ったら、とりあえず画面を見る。

⑧一五分以上待ってもメールの返信がないとイラつく。

⑨誰かと食事中でもメールがきたら、すぐチェックをする。

⑩電源を入れたら、まずはセンター問い合わせをする。

⑪勤務中は携帯電話使用禁止の会社には行きたくない。

⑫夜中でも着信があったら、とりあえず出る。

チェックの数が二から五は軽度の依存症。六以上は完全依存症である。携帯を持たない人は別にして、チェックゼロの人はいまい。

アイウィルの合宿研修期間は携帯電話の使用を禁止している。規則だから研修生は従う。しかし合宿が終わる途端、一斉に携帯電話の電源を入れる。小さい画面を覗く生活に戻っていく。

周りを見れば携帯電話の画面をポチポチいじる人ばかり。電車内の三分の二の人が携帯電話を握っている。文明の利器に頼ってもよい。一方、道具の品質だけが上がっていくのは問題。

この道具は「思考力と勘」という人間が人間である証を限りなくゼロに近付けるタバコより有害な嗜好品〈しこうひん〉でもある。
正木元