アイウィル 社員教育 研修日程

コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2017年8月号「講師控え室 101

 

新入社員の研修では、『学生と企業人の違い』という講義がある。学生時代の低い意識を払拭するために、様々な視点から違いを説明する。

学生は長い間、学校や家庭で自由、平等、権利などを埋め込まれている。大人と子供は平等、先生と生徒も平等、先輩と後輩も平等、会社に入ってきても新入社員が上司や先輩と平等だと思っている。そして給料をもらう権利、休みをとる権利、こういった権利主義者も増えている。自分が何をするのも自由。やりたくないことはやらない。それでいいと教わってきている。こんな学生達が社会に出てくるのだから、会社はたまったものではない。

上司と部下の上下関係など崩れている会社も多い。上司が新入社員に気をつかって話す。嫌われないようにするため、注意したり叱ったりできない。友だち言葉で話し、指示もお願い口調。友達のように仲良くなることで、新入社員から気に入られる。新入社員にとっては気分良く仕事ができる環境で、居心地がいい。そういう会社が良い会社だと思っている。

研修では勘違いをはっきり教える。初任給を受け取る四月五月に研修がある。講師は研修生に質問する。「あなたは今月、いくら売り上げをあげましたか?」「いくら利益に貢献しましたか?」と聞く。当然答えは「ゼロです」と多くの研修生が言う。当たり前である。新入社員が最初から売り上げをあげたり、利益に貢献できるわけはない。「売り上げも上げない。利益に貢献できてもいない。でも給料はもらえる。なんていい立場なのか」と講師は言う。一円も売り上げをあげなくても給料はもらえる。それなのに、初めて給料をもらった時に、自分で稼いだお金だ、と勘違いする人が多い。「あなたはまだ稼いでいない。では、誰があなたの給料を稼いでいるのか?」と聞く。少しずつ研修生達もわかってくる。上司や先輩達が新入社員の給料を稼いでいるのだ。一人前になるまでは、会社に養ってもらっている立場なのだ。上司や先輩がいなければ、仕事ができるようにもならない。一人前になるまで色々なことを教えてもらうのである。その上司や先輩と、友達のように話し、平等な立場だと思うのは間違いである。上司や先輩のおかげで給料がもらえ、食べていけるのである。そこには感謝の気持ちしかない。この感謝の気持ちを持てない社会人はロクデナシである。新人は「おっしゃるとおり、私はロクデナシです。こう言われない人間になります」と先輩や親に頭を下げられる人になること。これが新米が一人前になる出発点である。(兼頭康二