アイウィル 社員教育 研修日程

コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2017年12月号「講師控え室 105

 

年齢四十五歳、パンの製造現場を任されている工場長が最後のスピーチでこう言った。

「研修に来る前は社長の考えや想いがわかっていませんでした。この研修に出す社長の気持ちも全くわかっていませんでした」。

会社での立場は実質ナンバー2。自分では会社のために働いてきた自信があった。朝早くから夜遅くまで、誰よりも働いてきた。しかし会社からの要望点には「犠牲心がない」とあった。工場長は理解できなかった。受け入れられなかった。

アイウィルの研修を使うのは千社に一社である。目先の利益を優先する社長は使わない。第一ステップでも最初にやることは、挨拶や返事の練習から始まり、キビキビ動くなど基本動作を徹底する。そして自分にはどれだけ悪い習慣が身についているかに気づいてもらう。会社で使う専門知識や技術については全くやらない。

研修生達に「自分が社長だったら、すぐに利益に直結する研修を使いたいと思いませんか」と聞くと、全員「はい」と応える。「この研修は、もしも皆さんが今の会社を辞めて他の会社に行っても役に立つことをしています。本当なら、自分の会社のためだけに役立つことをさせたいのではありませんか」

研修生は頷く。「この研修ですることは、よい習慣を身につける、考える力を伸ばす、意識を高くする。これで得するのは誰でしょう。そう、自分なのです。受けた本人が得する研修。受けた本人が成長する研修なのです」。こう話していくと、ようやく社長の想いに気づく。

この研修を使うのは、社員一人ひとりの成長を本気で願う社長である。一人前の社会人になってほしい。一人前の日本人になってほしい。そう強く想う社長が使う。自分の会社の利益だけを考えるのではなく、社員一人ひとりの幸せを考える社長。

工場長も第一ステップの三日間の中で少しずつ気づき始めた。そして目の色が変わっていった。研修に取り組む姿勢が変わっていった。今まで部下の要望は全て聞き、わがままな意見にも耳を傾けてきた。それが自分では部下想いの上司だと思っていた。しかし、経営者の目線で仕事をしていなかったことに気づいた。

社長の自分に対する想いや期待がわかってきた。

多くの管理者が社長の気持ちや考えをわかっていない。経営者意識にはほど遠い。研修には嫌々来る。受け身の姿勢、やらされ意識。社長がどれだけ社員のことを想い、研修に派遣しているか知らない。

それに気づき始めた時、感謝の気持ちが芽生える。

そして素直に自分を磨こうと決意する。最終日、工場長の目は輝いていた(兼頭康二