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コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2020年1月号「講師控え室 128

 

中学一年の長男が、家に帰ってきて開口一番「今日、Aチームで試合に出た!!」と、嬉しそうに言った。

息子はサッカーのクラブチームに入っている。そこではAチーム、Bチームにわかれる。

一軍がAチーム、二軍がBチーム。同学年には三十名近くいて、フィールドプレーヤーで出られるのは十名。トレーニングマッチの度に、AチームとBチームにわかれて試合に出る。息子はBチームにいることが多かった。日頃の練習でコーチに認められればAチームで試合に出られるようになる。そこは実力社会だ。必死に練習する。ライバルに負けないよう努力する。チーム内でも競争である。誰もがAチームで試合に出たい。勝負の世界で勝ち負けがハッキリする。負けた者はガッカリする。つぎは頑張ろうと思う。また毎日努力する。こうして力をつけて成長する。息子も必死に努力してAチーム出場を勝ち取った。だからこそ嬉しかった。

一方、次男の小学校でのこと。この時期はどの学校も持久走大会がある。次男の学校では毎年、近くの大きい公園で学年ごとに走る。

六百メートルの周回ロードを二周半、おそらく千五百メートル近くであろう。全員がその距離を走り、順位がつく。一位からゴールすると番号の札が渡される。毎年自分の順位がわかる。ライバルの子に「勝った」「負けた」とハッキリわかる。

それが今年、校長が変わり、方針が変わった。「四分間走」になった。場所も校庭になった。二百メートルのトラックを四分間走る。スタート地点は二ヵ所。学年ごとに一斉に走る。四分で笛が鳴り一斉に止まる。

パートナーが計っていて距離を記録する。「四分間で何メートル走れたか」が記録である。しかも二ヵ所から半数ずつスタートする。二?三分経った頃には、誰がトップか、誰がビリかもわからなくなる。全員が一斉に止まるので、順位はまったくわからない。

変更に伴い学校からの説明では「教育指導要領に基づき」とあった。勝ち負けをはっきりさせない。遅い子は速い子よりも長い時間走ることになる。不公平だ。遅い子がかわいそう。優劣差を一切つけない平等主義である。

長男のサッカーチームはクラブチーム。強くなければ人が集まらない。存続できなくなる。だからこそ厳しい勝負の世界がある。会社と同じだ。

次男のケースは学校。誰が勝とうが負けようが学校や先生には関係ない。学校は潰れない。こんなところで競争力や闘争心など育たない。精神の弱い若者はこうして作られている。(兼頭康二