コラム『講師控え室』
人材育成の新聞『ヤアーッ』より
2015年3月号「講師控え室 73」
正月に学生時代の友人たちと酒を飲んだ。皆で今年の目標を決めようという話になった。「ところで『目標』と『目的』の違いって何だ?」と一人が聞いた。
「目標」と「目的」の違いをきちんと認識している人は少ない。皆でわいわい話し合って「そうだな」と結論らしきものが出た。
「目的」とは、自分が目指す未来を実現するキーワードである。「目標」は、目的を達成するためにやろうとする具体的な行動指標のこと。
「??大学に合格」は目的。そのために「毎日八時間勉強」は目標。ただし「官僚になって政治家になる」という目的を持つ人にとっては「??大学に合格」は目標になる。同じ到達点でも人によって目的であったり目標であったりする。それが目的目標の区別を難しくしている。
目標とは、目的を達成するためのステップのこと。目的がないのに目標だけあることはありえない。目的があってこそ、目標とするものが発生する。年初に目標を決める際、まず目的を明確にしなければならない。目的がはっきりしないまま何となく目標を決めてしまう。だから実行に向けての熱意も意欲も起きずに忘れていく。一年後、「あれ?どんな目標たてたっけ?」となる。
目標の決め方も重要。目的に達するための過程が「目標」である。目標をクリアしないと目的には近づけない。まずは目的に向けて、クリアするべき目標を決める。
目標は大きくなくて良い。達成できる範囲で目標を決め、目的に達するまでいくつもの目標をクリアしていくことがポイントになる。
米大リーグで活躍するイチローも言っている。
「目標って高くしすぎると絶対にダメなんですよね。必死に頑張っても、その目標に届かなければどうなりますか?諦めたり、挫折感を味わうでしょう。それは、目標の設定ミスなんです。頑張れば何とか手が届くところに目標を設定すれば、ずっと諦めないでいられる。そういう設定の仕方が一番大事だと僕は思います」。
アイウィルの管理者養成研修、ビジネス基礎研修は「二十の誓い」を作る。「毎日大きい声で挨拶します」「部下の日報を欠かさずチェックします」「一日五社を訪問します」など、一日一日の小さい「目標」を決め、これを六ヵ月間やり続ける。日ごとチェックリストに「〇」印が多くなっていく。小さい自己変革の積み重ねである。
目標を達成すると「仕事のできる管理者や社員になる」という「目的」を達成することができるのだ。(小川 宏)