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コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2020年2月号「講師控え室 129

 

中小企業の経営者は口を揃えて言う。「新卒の学生を採用するのは非常に難しい」と。

一昔前は一人採用するのに百万必要と言われていたが、今は一人採用するのに二百万必要だそうだ。それでも応募者がない。内定通知を出しても、辞退する人が多い。完全な売り手市場である。

学生は自分に合った会社を探そうとする。しかし結局は『安定』を求め、公務員、大きい会社、有名な会社に入ろうとする。

このような売り手市場の時代だから、気に入らなければ辞めればいいと思う。辞めて自分に合った会社を探せばいいと思っている。

企業側は採用するのが難しいから辞めてもらっては困る。苦労してお金をかけてやっと採用できた人を、なんとか辞めないようにと上司が新入社員に気を遣う。機嫌を損ねないようにする。注意しない。叱らない。チヤホヤして気分良く仕事をしてもらう努力をする。

こういった状況で働いていく新入社員、彼らは五年後どうなっているか。仕事のできる人になっているだろうか。答えはNOである。仕事のできる人にはならない。上司が注意できない。叱らない。言わねばならないことを言わない。周りが全て自分に合わせてくれる。

しかしお客様は違う。合わせてくれない。気分良く仕事をさせてくれようなどとしない。新入社員だろうが、ベテランだろうが同じに見る。口のきき方、挨拶、返事、表情、気に入らなければ買ってくれない。仕事をしてくれない。会社で気分良く仕事をしていた新入社員はショックを受ける。「この仕事は合っていないのか!」と思う。結局三年以内に辞めていく。

気分良く仕事をしてもらおうとやさしくする。新入社員に気を遣い言うべきことを言わない。これでも辞めていくことになる。仕事ができるようにならないから当然である。

新人にとって重要なことは、合わせられる人になること。上司に合わせられる。会社に合わせられる。お客様に合わせられる。これが仕事のできる人である。仕事ができるようになれば認められる。やりがいを感じられるようになる。

企業がすることは育てることである。自分の会社に合わせられるように指導していくことである。辞められるのを恐れ、遠慮することではない。ダメならダメと言う。しっかり注意する。礼儀や社会人としての考え方を指導する。気分を損ねようが、言わねばならないことはきっちり言う。それが新入社員のためである。飽食の時代の落とし子を鍛えて一人前にするのは大人の役目。(兼頭康二