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コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2021年5月号「講師控え室 143

 

趣味は読書です。読むのはもっぱらマンガ本ですが…。新聞は毎日読みます。テレビ欄だけですけど…。

恥ずかしながら、私の話である。それも子ども時代の話ではない。社会人として生活するようになってもしばらくは、平然とした顔でこれが普通だと思っていた。

研修で本を読むことを強いられた。活字と言えば教科書くらいでしか目にしたことがなく、興味がある分野の本くらいは手に取るが、それ以外には目もくれなかった。それがビジネス書? 自己啓発? 本屋でいうところの、「足を踏み入れてはいけない領域」であった。

本は人の心の栄養剤になる。先輩に言われた言葉である。自分では体験できないこと、自分の内からは生まれてこない考え方を、外から摂取する。良薬は口に苦く、飲み下すのに一苦労する。それでも体内に入れて腑に落ちれば、必ず血肉となってその人の人生を豊かにする。

研修中の課題図書はどれも良薬だった。私には難しすぎる。これなら読めると感じた本もあったが、子ども用のシロップがごとく、効き目は比ではなかったと今では思う。

どんな本を好むかで、その人の人となりが分かるとも言う。穏やかな本を好む人、刺激が強い、言い替えれば主張が強い本こそ読み応えがあると言う人、世間からはあまり歓迎されていないが、真理を突き、共感者が激励している本を大事にする人、様々である。世の中には風潮というものがあるから、今の時代は刺激が強いものはあまり好意的に受け入れられていないようである。

そのせいで本屋に積まれている本が、毒にも薬にもならないハウツウものや文字の少ないマンガのような本ばかりになっているのは残念である。

人間力を向上させるためには清濁併せ吞む、の気概も必要である。本も幅広いジャンルを読むからこそ、見識を広げることができる。最初は飲みにくい薬でも、徐々に慣らしてゆけば、舌にもなじんで喉を通るようになるのと同じである。

何を悪とするか、それは誰にも決められない。誰もその答えを持ち得ないし、たとえ自分が悪だ、受け入れられない、と感じていても、それが別の誰かの正義である可能性は充分にあるからである。

大切なのは、自分で自分自身が正しいと思えることを取捨選択できる力を養うことと、むやみにその判断材料となる選択肢を狭めてしまわないことだ。

「アレはダメ、これもダメ」と逃げ回らず、幅広いジャンルの本を手当たり次第読んでみるのがベストだと最近確信し実行している。
坂本利江子