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コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2021年6月号「講師控え室 144

 

食事制限と適度な運動を始めた。いわゆるダイエットである。これまでも何度となく繰り返し、かつ失敗してきた。

けれども今回の挑戦は、過去のものとは心持ちが少々違うものであった。

コロナ禍を言い訳にして、ここ一年間は出不精に拍車がかかった。一日中一歩も外に出歩かず、それでも食事の量は以前と何も変わらず。むしろ時間を持てあましては口寂しさに甘いものを一口。

人と会う機会が激減したため、身なりに気を使う気持ちも薄れ、一月の健康診断の結果は、散々なものであった。計測してくれた女性に「昨年から少し変化があったようですが、よろしいですか」と、非常に丁寧な「体重増加の現実を見よ」と突きつけられて、顔から火が出るほど恥ずかしい思いをした。

それだけなら、傷は浅かった。問題は心の方だ。小さい頃から、自分の体型にコンプレックスがなかったわけではない。けれども思いきって改善する気はなく、思い立っても根気が続かずいつの間にか止めてしまう。そのうち卑屈な感情が心を支配してきて、マイナス思考が幅をきかせた。どうせ自分はヒエラルキーの下層にいる人間。より下層に墜ちたところで、大差ない。少しくらい食事に気をつけたり運動したりしたところで、どうせ大した変化はない。どうせ、どうせ…。

心の中の口癖が、自分自身を貶めて、這い上がれなくしていた。負の感情が渦を巻いているのを、何とかしなければと思いたった。誰かにすすめられたのではなく、自ら重い腰を上げたことが、過去との相違点である。

まず着手したのは、食生活の見直しだ。自分が食べるものに対して無頓着だったことを反省し、一日に何をどれだけ摂るのか意識した。腹が満たされれば良かった以前と比べて、主食・主菜・副菜のバランスを考えるようになった。惣菜に頼らない分、手間が増える。それでも自作の弁当は、少量でも満足するものになった。

一日の運動も増えた。歩数計をつけ、目標を立てた。きりの良い歩数まであと少し、となると、家の回りをぐるり。きつすぎる運動は続かないと思い、初心者向けの筋トレを始めた。毎日定刻にアラームが鳴り、今日は疲れたからいいか…という甘えを叱責する。継続日数が増えてくると、一日休むことが罪悪感でできなくなる。

最も大きかったのは、周りに言い広めたことだ。食事の記録も、一日何歩歩いたかも、身近な人に報告した。認承はなにより活力となり、「どうせ」というマイナス思考を消した。一年で10?kg減量した。
坂本利江子