アイウィル 社員教育 研修日程

 

コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2021年11月号「講師控え室 149

 

研修歌の歌詞に「父に背いた純情を悔んで戻る時はない…」の文言がある。力のない子は親に従順だが、自信と意欲のある子は父を批判して成長するという意味である。

来年四月に社会人になる学生の就職戦線はもう終盤に入り、進路が決まっていない人は少ないはずである。K君も既に内定をもらっている一人だが事情が少し違う。

今秋に六ヵ月間統率力養成研修を修了した研修生の話。この研修生は、過去に六ヵ月間管理者能力養成研修を修了し、その後、一年間の有言実行研修を修了。今回の統率力研修には自ら志願し、社長へ頼み込んでの参加であった。

その方は二人の息子がいる。すでに警察官として社会貢献をしている長男。来年から社会へ羽ばたこうとしている次男のK君である。これから自分の進むべき道を決めなければならないK君。恐らく、自分は何をしたいのか。どんな会社を選べばいいのか悩んでいたであろうと想像がつく。

そこへ母からの助言があった。「お父さんが勤めている会社へ入ったら」と勧められた。この研修生は社長ではない。親が経営する会社に息子が入ることはよくあるが、それ以外で自分の父と同じ会社を選ぶのは珍しいことであろう。反抗期を過ぎたとはいえ、十代の時は父を煙たがったり、避けがちになったりするものではないだろうか。

父と同じ会社を受けようと思った決定的な理由は母親の勧めのほかにもう一つある。

毎日朝から晩まで仕事に明け暮れている父が、帰宅して懸命に机に向かって勉強をしている。寸暇を惜しんで本を読んでいる。その生活は休日であっても同じであった。そんな父の姿を目の当たりにして「親父、カッコイイ、俺もこれでいこう」と思ったのだ。

この思いが日に日に強くなり、自分の行くべき道が決まったのである。子は親の言う通りには動かず、親のやっている通りに動く。親の背中を見て子は育つというのは、まさにこのことだと思う。私も子を持つ親として、畏敬の念が湧き上がってきた。

これは会社でも同じことが言える。口先だけで実が伴っていなければ、部下はすぐに見抜いてしまう。逆に、口数は少なくとも率先して真摯(しんし)に行動する上司に、部下は傾倒する。

先に紹介した研修生は、統率力研修の目的である〝頭脳と権威を磨く〟闘いに勝った勝者の典型であろう。

この研修生は、国産漆喰(しっくい)トップメーカー日本プラスター㈱の金児哲治さんである。来年四月から親子二代で会社にどんな貢献をするのか楽しみである。期待している。(坂口英生