アイウィル 社員教育 研修日程

 

コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2022年1月号「講師控え室 151

 

息子のサッカーの試合。相手チームの監督は必死に指示を出す。

「どこ見てるんだ!!そっちじゃない!!」「もっと右に寄れ!!」「田中!! 上がれ!!」「スペースに蹴れ!!」「何やっているんだ!!そこはサイドの選手だろ!!」細かいことを大きい声で言う。

まるでゲームのコントローラーを握っているかのように、監督が選手を動かそうとする。

選手達は監督の声を聞いて動こうとする。チラチラ監督を見る。気にする。監督の言う通りプレーしなければ怒られる。監督の声を頼りにするようになる。その声があると安心する。

これは多くの少年サッカーチームで見られること。

観客席で見ている親がいろいろと言うチームもある。「ドリブルしろ!!」「右サイド空いてるぞ!!」「シュート打て!!」

監督が常に指示を出し続ける。親が外から指示する。こういうチームは一見、全員で戦っているように見える。強いチームもある。しかし、選手が自分で考えてのプレーができない。指示がなければ動かない。

小学生年代ではこれでも勝てる。それでいいと錯覚する。しかし中学生年代、高校生年代と進むと、こういうチームの子供は活躍しない。伸びないのだ。

プロの選手を育てるJリーグの下部組織では試合中に監督が大声で細かく指示などしない。選手に考えさせることを優先する。たとえ試合に負けても、自分達でやらせる。

これは社会に出てくる新入社員を見ても言える。親から、何から何まで言われて育ってきた子は、言われたことしかできない。親は良かれと思って言う。失敗しないように先回りして言う。失敗したらすぐに解決策を伝える。「ああしてみたら」「こうしてみたら」「こうしないから失敗するのよ」

細かく何でも言いたくなる親は自分の子供を自分で判断し行動することができない人にしている。この人は会社に入って苦労する。上司は一から百まで言ってくれない。自分で考え、工夫することを求める。

それができない。言われなければ動けない。仕事のできない部下という烙印をおされる。

人は失敗して成長する。失敗の原因を、自分で考えさせる。子供のうちからこう育てる。親は家庭で、スポーツの監督は練習や試合で口を出したい気持ちをグッとおさえる。優れた社会人、優れた選手にするために。

断っておくが、これは向上心があり真剣に取り組んでいる人に対する教育法である。やる気のない人、反抗する人、ルールを守らない人に対してはうるさく言って注意する叱るが必要である。(兼頭康二