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コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2022年2月号「講師控え室 152

 

先月号の辻清司氏の「生論」を読み、ドキッとさせられた。

私は食品ロス問題と向き合っているつもりだった。食品業界の方々が抱える深刻な問題を助けるまでの働きはなかった。

第一に食料品の値上げ。原材料の高騰が続く。店頭価格も上がるわけだが、「消費者の立場も考えろ」と悪態をついていた。生産製造者は利益が出る出ない線上で折り合いをつけて値を定めている。苦しみを分かち合えなかった。値上げは消費者の問題にあらず。生産製造者のほうこそ大きな問題だった。文句は無知が言う。

第二に食料品の賞味期限。新しいものを優先して手に取っていた。日持ちのよいほうがありがたい。この「ありがたい」は自己中心の考え。個で考えず全体で考えてみれば賞味期限が短いほうをカゴに入れるべきだ。日持ちがしない食品ほど浅ましい思考が働いていたか。たとえば食パン。辻氏に怒られる。

第三に食への感謝。私は足りない。「いただきます」「ごちそうさま」は言う。気持ちはあるかも。それは食事の時に限る。食後の三分も経てば感謝は心から抜けてしまう。現に味や量に文句を言う時もあった。野菜や肉を作る人、料理を出す人への感謝はあっただろうか。食の命にしか感謝の対象にしなかったと反省するばかり。

私は食品ロスの意識レベルが低い。しかし、同程度の人は多い。過剰なほど食品に囲まれ、食べたい時に食べられるから。真剣に食品ロスを考えているのか。あっても瞬間的。生産製造者の立場からも考えているか。「どれどれ賞味期限は……」と日持ちを気にして選んでいまいか。食となる命にかぎらず、関わる人たちにも感謝しているか。

皆が協力すれば食品ロスの問題改善は一気に進む。意識格差を埋めたい。食に関わる方々と私たち一般家庭との間で。

二〇一八年度、国内年間食品ロスは約六百トンだった。農林水産省の推計値だ。国民一人あたり一日でお茶碗一杯分の量を捨てている計算。毎日私もお茶碗一杯の食べ物を食べずに捨てているのだと考えよう。食料自給率三十八パーセントの国の民は何をしているか。世界には食べ物がなくて餓えている人が一割以上いる。その逆に先進諸国は日本同様に食べられるものを大量に捨てている。この矛盾を解決するのは誰か。政治家か、学者か、ジャーナリストか。天才の出現を望む。

これから国が主導して食品ロス問題と向き合っていく機会が増すだろう。高いだの嫌いだのと不満を漏らしていられない。

食難は国難。皆で食難を救い、国難を克服したい。(正木元