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コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2022年3月号「講師控え室 153

 

最近、視力が落ちた。原因はわかっている。スマートフォンやパソコン画面を見ている時間が長くなったせい。

二年前から外に出る機会が激減した。書店へ行く機会も減った。書籍よりも電子書籍を読む機会が増えた。

最近は紙の書籍に戻した。書籍に戻すと、頭がスッキリするようになってきた。

読書は、考える力を伸ばすために必要不可欠なもの。ものの見方考え方を広く深くする。本に触れることで、自分の世界を広げてくれる。

近年、電子書籍が台頭し、紙ベースの書籍が売れなくなっている。印刷業界や書店は大打撃である。なぜ電子書籍が台頭してきたのか。

かさばらない。どこでも読みたい本が取り出せる。紙ベースより安価。わざわざ書店に行かなくても手に入る。こうした利点があるからである。

しかし、読書の本質を考えると、圧倒的に紙ベースが有用。紙ベースの利点を三点挙げる。

まず脳に深く残る。文字を見る視覚。ページをめくる音を聴く聴覚。紙の匂いを感じる嗅覚。ページの質や重みを感じる触覚。五感を使って読むので、脳の奥に残りやすい。

第二に「このあたりに書いてあったな」という記憶把握・空間把握がしやすくなる。電子書籍のような平面では前後の把握が難しい。空間記憶の機能が向上する。

第三に、脳をリラックスさせる。副交感神経が優位になり、脈拍数が減る。

以上のことから、読解力が向上し、語彙力も豊かになる。

対して電子書籍はどうか。メリットは前述したとおり。デメリットも多い。まず、身体に負荷がかかる。画面を見るのでブルーライトが目に入る。ブルーライトが脳に負荷をかける。

睡眠ホルモンであるメラトニンが抑制され、眠りにくくなってしまう。更には、新奇性中枢を刺激し、深い読みに必要な前脳新皮質の働きを抑制してしまうのである。

また、平面の文字を追うので、紙ベースの書籍よりも記憶に残りにくい。電子書籍では、「だいたいこのへんに書いてあったな」という、本の物理的・空間的な位置と内容を紐付けした記憶を作ることができない。

位置や場所の記憶は非常に原始的なもの。言い換えると、きわめて重要な能力だ。紙の本は空間記憶と結びつくが、平面的な画面で読書をしても空間記憶と結びつかない。

電子辞書が当たり前の時代。加えて電子書籍も当たり前の時代になってしまうと、人間の脳はますます退化する。

今こそ、紙の本に戻ろう。(横谷大輔