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畠山裕介の『人と話の交差点』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

 

「人と話の交差点 315」  畠山裕介

 

盲導犬クイール2

 

-ナンバー2(42)-

 

コミュニケーションの重要さを理解させるゲームがある。

二人で一組になる。一人は完全に目隠しをする。もう一人は盲目の相手の片手を握って、目的地まで誘導する。

言葉が使える場合はそれほど困難ではない。「一メートル先に階段があります。五段です」と言えば、たぶん難なくクリアできるだろう。

言葉が使えない場合はどうか。たぶん一〇倍難しくなるだろう。階段をどうやってペアに教えるか。五段をどう教えるか。盲目の役者は一歩歩くたびにおっかなびっくりの連続だろう。

盲導犬と視覚障害者のペアは、まさしく後者のケースにあたる。そこでは人間と犬の間に絶対的な信頼が要求される。

そのために盲導犬は徹底的にしつけをされ、教育をされる。

たとえば盲導犬は、走ることを許されない。犬は走る動物である。走るのは、犬の本能である。その走る本能を去勢される。犬もその状況を完全に受け入れる。

なぜか。盲導犬が走ることを覚えてしまうとどうなるか。視覚障害者の歩く速さに合わせることができなくなる。

たとえば食事は人間の手で与えない。人の手で与えると、それに慣れる。そして人が食べている何かを欲しがるようになる。ひどい場合は、それを横から奪い取るようになる。

食事は毎回決まった時間に、決まった量を食べる。間食は与えられない。与えると、排泄のリズムが狂う。それはユーザーに多大の迷惑をかけることになる。

ある獣医の体験談。

盲導犬の体重を正確に測ろうとしてハーネスを外した瞬間のこと。盲導犬は病院内を縦横無尽に駆け回った。それはそれは嬉しそうで、楽しそうだったという。

その時、獣医は発見する。盲導犬だって、本当は走りたいのだ。遊びたいのだ。その衝動を我慢しているだけなのだ……。

盲導犬は産まれた時から、不変の使命と任務を背負う。ユーザーの人生に仕え、徹底して支えることである。盲導犬の人生は自分ではなく、ユーザーのために存在するのである。

この厳しい宿命を盲導犬は文句一つ言うでもなく、粛々と受け入れる。

盲導犬の人生は、自己犠牲で貫かれている。

さて、ユーザーを社長、盲導犬をナンバー2と置換してみよう。

あなたはクイールのように社長を守り、支えているだろうか。社長の考えに合わせて行動しているだろうか。社長の行きたい場所、やりたいことの手助けができているだろうか。崇高なる犠牲的精神で、社長を補佐しているだろうか。