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<畠山裕介の新刊>

畠山裕介の最新刊『仕事を決める和文力』
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『仕事を決める和文力』
人の心を動かす文章を書く方法とは

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畠山裕介の『人と話の交差点』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

 

「人と話の交差点 327」  畠山裕介

 

感謝してますか?

 

-ナンバー2(54)-

 

ある意見広告の抜粋である。

架空職業の面接の一場面。面接官が説明する。
「…この仕事は多くの責任が伴います。仕事中は基本的に立ち仕事で、時には屈みっぱなし。高レベルのスタミナが要求されます」
「勤務時間は何時間ですか」と参加者の一人。
「基本的に週七日。二四時間勤務です。休憩はありません」
「それは違法ではないですか?」と別の参加者。
「この職務には非常に高い交渉力とコミュニケーションのスキルが求められます。さらに必要なのは医学、財務管理、調理の高い能力で、複数の職務を兼任します。時には徹夜もあります。休暇はありません。正月や感謝祭やクリスマスには、さらに仕事が増えるでしょう。楽しんで仕事に従事していただきたい」
「一年三六五日働くってこと?」
「はい」
「だめよ、非人道的だわ」
「仲間を助けることで得られる幸福感は、何物にも代えられないでしょう」
「……。」
「この役職には給与はありません」
「ただ働きなの?」
「ええ。ただ働きです。今現在、この役職に従事している人がいるんです。それも何億人もね」
「誰ですか?」
「お母さんですよ」
「たしかに。すげえや」
(『世界で最も過酷な仕事』より引用)

二歳と四歳の娘が同時にインフルエンザに罹った時がある。二人とも熱は四〇度越え。

妻は客間に自分と娘たちの布団を持ち込み、障子を閉め切った。

「今日から家庭内完全別居です。自分のことは全部自分でやってください」

家庭内別居は四日間に及んだ。五日目、三人は元気に生還した。妻と私が逆の立場だったら、私は半日で罹患(りかん)していたろう。女は弱し、されど母は強し。

母親になった女性は、好むと好まざるとにかかわらず、その後の五〇年間自分の人生を捨てる。

赤ちゃんの世話は、大袈裟でなく二四時間の緊張を強いられる。食事、洗濯をはじめ家族全員の家事も母親の負担となる。子どもから手が離れたら、今度は父母の介護である。

そしてもっとも厄介なのが〝粗大ごみ〟の扱い。どちらかが死ぬまで、この存在に煩わされる運命が待っている。

女性の人生は自己犠牲の上に成り立つ。縁の下の力持ちである。夫を立て、親に仕える人生である。老いては子に従う人生である。

役立たずの男どもは、有能無比のナンバー2に感謝すべきであろう。ゆめ、無下にすべからず。