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コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2021年9月号「講師控え室 147

 

「◯◯を読んで」という書き出しを、使ったことがない人はいるだろうか。夏休みの宿題で辛かったもの上位に必ず入る読書感想文。もっとも安易な書き出しで始まり、なかなか筆が進まずに情景描写ばかりになってしまった感想文。読み返してみても、面白みに欠けた文章だと自分でもわかる。今年もこんなものかという気持ちで九月一日に間に合わせた。そんな経験が、おそらく多くの人に苦く残っているだろう。

それが学校では、最近少し傾向が変わったと聞いた。

いわゆる「読書感想文」ではなく「おすすめの本をクラスメイトに紹介する」課題になっているという。おすすめの一冊からお気に入りの場面を取り上げて、なぜ好きなのかを自分の言葉でまとめ、ポップ(商品を宣伝するために売り文句を書いた貼り紙)を作成するらしい。

自分の記憶を掘り起こしてみた。なぜ、私は読書感想文が苦手だったのか。はっきり言おう、なぜ嫌いだったのか。

一つ目。読みたくもない本を当てがわれて、無理やり読まされている気になっていたから。毎年決まった課題図書があって、その中から選ぶよう命じられた。読みたい本のジャンル、好きな作者、読書自体が苦手なら、読める分量も千差万別だろう。それを無視して押しつけられたのでは、前向きに取り組めない。

二つ目。どんな内容を書けばいいのかわからなかったから。一言に「感想」と言われても、どう表現すればいいのかわからない。面白い場面はたくさんあったが、なぜ面白いと思ったのかを言い表すのは状況説明が必要に感じてしまう。結局、描写ばかりで肝心なところがまとまらなくなってしまう。

三つ目。目的がない文章だから書きにくい。「自分はこう思った」「この場面の主人公に共感する」などの文章は、独り言に近い。相手がいれば、読み手がいれば、話したい内容が次々と浮かんでくる。友人と映画を観に行った後、感想を言い合って盛り上がるのと同じだ。

これらの問題点を、今の小学生たちはクリアできる。おすすめしたいという本を自ら選ぶことができ、一場面を切り取ってどうして好きなのかというはっきりした内容が決まっている。クラスメイトに紹介するという目的まで明確である。書き出しが早く、筆の進みも早く、内容も充実したものになる。

たださせるだけ、こなせば評価されてしまうものは、学校教育にも少なくない。そこに意義と目的を付与するだけで、子どもは目を輝かせて取り組む。

読書感想文に苦労している研修生のみなさまの参考になれば幸いである。(坂本利江子