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コラム『講師控え室』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

2022年6月号「講師控え室 156

 

挨拶は形から入るが人の心を作り、人を変える力がある。

前職の幼稚園教諭時代の保護者会でのことである。「あいさつ週間」というものがあった。挨拶を、園児、教員、保護者全員で積極的におこなうというもの。それに先立ち、保護者会で挨拶のエピソードを募った。すると埼玉の製造会社の役員をしているという父兄がつぎのような話をした。

今から二十年前、その製造会社の代が替わった。二代目は三十二歳の若社長。先代はトップダウンでなんでも押さえつける人だったそう。その姿を見て、二代目の若社長は、自由な社風を目指した。すると半年後、社員達は言うことを聞かなくなった。

その頃からクレームが頻発するようになった。製品の質が落ち、不良品まで出るようになった。半年で売り上げは代替わり前の半分になった。

若社長は工場を見回った。工場が汚い。従業員の服装が乱れている。私語が多い。何より気になったのが挨拶。従業員同士はおろか、見学に来た取り引き先に対し、ポケットに手を突っ込んで「ういーっす」だった。

翌日から若社長は朝礼に挨拶練習を導入した。毎日実施した。「面倒くさい」と言ってやりたがらなかった従業員にも強制的にやらせた。

二ヵ月で従業員百人の半数が退職した。真剣に挨拶の練習をしなかった者が八割。会社の将来に不安を感じた者が二割だったそう。それでも若社長は挨拶練習をやめなかった。

挨拶練習を始めて三ヵ月が経ち、徐々に効果が出てきた。言われなくても自分から挨拶するようになった。服装の乱れがなくなった。私語が減ってきた。残った半数の従業員は地道に挨拶の練習をし続けたのだ。

練習導入半年後、若社長は取り引き先を訪問した。受注が急増した。そのお礼。

若社長は聞いた。「なぜ急に受注を増やしていただけたのでしょうか」と。

取り引き先の社長が答えた。

「実は先月、社長がいない時に工場へ見学に行ったんだよ。するとどうだろう。工場がキレイになっていた。製品の質が戻るどころか良くなっていた。何より従業員が活き活きとして働いていた。私を見つけると、皆が笑顔で挨拶してくれた。これなら安心して任せられると思った」。

若社長はその場で泣き崩れたという。先代からの長い付き合いで、厳しい社長だった。その社長に認められた。自分のしたことが報われたと思ったのだろう。

話をしてくれた父兄は当時の従業員で取締役になった方。挨拶で会社を変えたことを嬉しそうに語ってくれた。(横谷大輔