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染谷和巳の『経営管理講座』

 

人材育成の新聞『ヤアーッ』より

 

「経営管理講座 396」   染谷和巳

 

 歴史を学び新聞を読む

経営管理講座

 

新聞を毎日精読し、歴史を十分学べば誰でもそこそこの大局観と先見性の持ち主になることができる。では新聞ならどれでもいいのか。歴史はどのように学べばいいのか。司馬遼太郎や吉村昭の小説をたくさん読めば歴史を学んだことになるか。何をどう吸収するかによって成否が分かれる。

 

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偏向報道の新聞を毎日読むと

 

数年前、同級生の元大学教授M氏から、〝老後の手なぐさみ〟と謙遜する歌集が送られてきた。

上製本のしゃれた体裁の本で一ページに一首ずつ短歌が載っている。確かに老後の手なぐさみレベルの作品だったが、感動と絶賛のお礼の手紙を返した。

そのお礼状の効きめか、Mから月一度のペースで手紙が来るようになった。「読んでみてくれ」と他の人の文章や雑誌のコピーを同封してくる。荒田は欠かさずハガキの返事を出したが、やりとりにMほど熱心ではなかった。

Mの手紙の「それにしても」の接続詞で始まる末尾数行はいつも異様だった。

「安倍は腹黒くて汚ない。外交で成果をあげているなんていうが、身辺の問題から逃げ回っているだけじゃないか。総理大臣の資格はない。即刻辞めるべし」

こうした調子の安倍総理を罵倒する文面である。初めはジョークだろうと思っていたが、毎回手紙の末尾に、そこまでの丁寧な文体とガラッと変わった怒りまる出しの告発が記されるので〝本気〟なのだと判った。

安倍総理大臣は世界各国の首脳と直接話し合って信頼関係を作り、特にアメリカとの信頼関係は過去最強となり、日本の存在価値を高めた。防衛庁を防衛省に昇格、オリンピックの東京招致に成功、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定を発足させるなどの功績を残した。

近年の総理大臣のうちでは最も大局観と先見性に優れた指導者であり、国民の厚い支持を受けて八年以上の長期政権を実現した。荒田はこのように評価しているが、Mは正反対の〝悪人〟〝売国奴〟の評価である。この罵倒は菅総理に代ってからも続いた。

「安倍の傀儡(かいらい)の無能総理だ」とその言動を非難した。

菅総理は福島原発の処理水の海洋放出を決断するなど、一年という短期ではあったが立派な総理大臣だったと荒田は思っている。

用事があって電話した時聞いてみた。

「Mさんは安倍さんが嫌いなようですが」

「はい、嫌いです。安倍も菅も顔見るだけで虫酸が走ります」

「Mさんは何新聞をとっているんですか」

「東京新聞です。ずっと」

「ありがとうございます」

朝日、毎日、東京の三紙が執拗に「安倍叩き」をしていると聞いていた。朝日新聞社の社長が「安倍を叩き潰せ!これはうちの社是だ」と言ったとか言わないといった噂もある。

モリカケ(森友学園と加計学園で安倍総理の汚職が疑われた)問題では三紙は野党の先棒をかついで安倍総理を攻撃した。その中でも東京新聞の論調は特に過激で、Mの手紙と同じ調子で、総理大臣を犯罪者扱いした。

新聞を毎日三十分読めばそこそこの大局観と先見性を身につけることができると言ったが、新聞ならどれでもいいわけではない。

火のない所に煙は立たない。新聞が火をつけて大火災になり国民と政府が振り回されたことが何度もある。その一例をあげる。

出生から経歴までウソで固めた吉田清治の「軍に頼まれて済州島で朝鮮人女性を強制連行してトラックにのせた」という講演と著書をもとに、朝日新聞が昭和五十八年(一九八三)から〝従軍慰安婦〟の記事を載せ始めた。さらに中央大学教授吉見義明から「軍の関与」を示す資料を提供されて報道の熱がさらに上がり、合計十六回記事にした。

この熱い風の影響を受けて平成五年(一九九三)、河野官房長官が「謝罪と反省」の談話を発表。これによって韓国は「慰安婦像」を世界各地に設置し、国連も「性奴隷」の存在を事実と認めて日本を非難した。

吉田の証言が全くウソであり、吉見提供の資料が「軍の関与を示す」ものでなかったことが証明され、朝日は平成二十六年(二〇一四)に慰安婦報道が虚偽であったことを認めて取り消した。この間実に四十一年。朝日の読者は「日本軍の性奴隷」を長期間信じていたことになる。

まだ国連や韓国は非難を続けているが、安倍、菅両総理の力もあって今年から学校の社会科の教科書からようやく「従軍慰安婦」の記事が消えた。

新聞は〝正義と公正〟の旗を振りながら、洗脳による世論操作を数え切れないほど頻繁に行っている。その新聞にどっぷり漬かっている人は、Mのように国や政府に罵声をあびせるようになる。

新聞ならどれを読んでいても大局観と先見性が身につくわけではない。反対に視野狭窄の偏屈な人になってしまう場合もある。

 

 

中学の教科書が大人を変える

 

歴史戦とは歴史を武器にした戦争である。自国の利のためにウソでも他国を悪く言い、それを国民に信じさせ、愛国心を高揚させ敵愾(てきがい)心を煽る。実際の戦争に至ることもある。

どの国も不利を隠し自国を美化する。それを子供に教える。歴史の教科書の内容は大事である。

歴史小説は〝お肌の化粧〟のようなもので歴史上の人物や出来事を作者が自分流にいじりまわすもの。司馬遼太郎の小説は〝司馬史観〟などと言われるが、登場人物は実像ではなく司馬の色メガネを通して作られた虚像である。愛読者は人間通にはなるが歴史通にはならない。吉村昭の「戦艦武蔵」以降の小説のほうが史実に忠実で歴史の勉強になる。しかしやはり歴史の部分を切り取った〝お肌とお肉〟である。歴史は〝骨格〟である。骨と骨がつながって今に至っているその客観的な大きい流れを知るのが歴史を学ぶということである。

「文科省『不正検定』を正す会」(会長・加瀬英明)に少額の現金支援をしたところ、自由社刊中学社会教科書「検定合格 新しい歴史教科書」を送ってきた。

〝事件〟の経緯を簡単に説明する。

過去五回に亘り検定合格して各地の中学校で採用されてきた「新しい歴史教科書」が令和一年(二〇一九)十一月、四〇五件の欠陥箇所を指摘されて問答無用の「一発不合格」になった。

自由社は一七五箇所の反論書を文科省に提出したが却下。令和二年三月不合格が確定した。

六月、他社の教科書と比較して、同じ表現、記述であるのに自由社は不合格、他社は合格という〝ダブルスタンダード〟が三十一箇所あることが判明。その比較説明を読むと教科書調査官が自由社の教科書のみを狙い撃ちで不合格にしていることがよく解る。

以後「新しい歴史教科書を作る会」と「正す会」が文科省と文科大臣に対する抗議活動を続け、令和三年三月三十日、自由社の歴史教科書は検定合格した。

その「検定合格」の教科書を一冊送ってきてくれたのである。

表紙写真のとおり三〇〇ページの立派な教科書であるが、「今さら中学の勉強でもあるまい」と読まずに放っておいた。中学生の孫に「あげる」と言うと「自分のがあるからいらない」と断られた。立派な本なので資源ごみに出すのは忍びない。

武漢ウイルスのおかげである。読書時間はありあまっていた。手ごろな文庫本にあきて大きい厚い教科書を読み始めた。

小説と違って「どうなるどうなる」と筋を追う楽しみがない。そのため時間はあるが通読できない。一日十ページ、一ヵ月かけて読み終わった。読み終えてから「これは大事な本だ」と思った。

つぎに一日二ページを二ヵ月かけて読んだ。日本だけでなく十字軍や産業革命、ヒトラー、スターリンなど世界史も載っているので日本と世界の時代背景が理解できた。

学生の頃読んだ名作を四十年後に読んで新鮮な感動を味わうことがある。本は読み手によって得るものが違う。同じ人でも読む年齢によって違う。

中学生にとって歴史は出来事と年号と人物名を覚える暗記科目である。知識経験も浅いので、ただ試験で点数を取るために勉強するのであり、歴史を学んではいない。

大人は社会経験を積み、知識を蓄えている。大人がこの教科書を読むと深い理解が得られる。これまでの見方考え方が浅くて狭かったことに気づく。

荒田は自分の体験から「歴史を学ぶには中学のこの『新しい歴史教科書』が適している」と思った。

 

自由社中学社会「新しい歴史教科書」の表紙A4変形版(26×21センチ)三〇四ページ定価一九八〇円書店やアマゾンで市販している