染谷昌克の『経営管理講座』
人材育成の新聞『ヤアーッ』より
「経営管理講座 444」 染谷昌克
社会人基礎力を一段ずつ高める
社会人基礎力とは、経済産業省が定めた「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」という、職種や時代に左右されない〝働く力の土台〟である。この力は、知識として学んだだけでは決して身につかない。人が行動し、考え、周囲と協力できるようになるには、内側からの変化が必要。
基礎力の劣化は企業の衰退
企業の衰退は、音もなく始まる。昨日と同じように見える日常の中で、報告が遅れ、判断が鈍くなり、指示を待つ社員が少しずつ増えていく。
その変化は微細であるがゆえに見逃され、しかし確実に組織の内部を蝕(むしば)んでいく。
経営者は、つい外の要因に目を奪われる。景気の変動、競合の出現、採用難。
だが本当の衰えは、外からやってくるのではない。会社は内側から弱体化していく〝基礎力の劣化〟こそ最大の敵である。
報告が曖昧、段取りが甘い、注意するとふてくされる。簡単なミスが繰り返され、同じ問題が何度も起きる。
こうした症状は、個人の素質でも性格でもない。ただ単に、企業として「社会人の基礎」を教えてこなかっただけなのである。
経済産業省が示す「社会人基礎力」は、企業が人材を育てるうえでの最小限の設計図と言ってよい。
「前に踏み出す力」
「考え抜く力」
「チームで働く力」
この三つは、どの時代でもどの会社でも、人が仕事をするための〝土台〟である。
これは昔、上司の背中を見て自然と身についた力である。しかし、現代の職場にはこの土台を伝える余裕がない。
ベテランは自分の仕事で精一杯になり、管理職は数字に追われ、若手は助けを求める術を知らない。
つまり、企業自体の人を育てる機能そのものが弱っているのである。
人は自然には育たない。放置された人材は、必ず弱くなる。弱い人材が集まれば、組織は停滞し、やがて腐敗へと向かう。企業が気づく頃には、内部の活力がすでに失われているのだ。
企業の衰退は、基礎力の欠如という〝見えない病〟が原因で進行する。トップから見て、なんとなく感じる違和感はその前兆であることが多い。
組織を支える土台は
基礎力とは、単なるマナーや心がけではない。組織が正常に動き、成果を生み続けるための構造的な強さである。
社会人基礎力の低い組織は、日々、目に見えぬ損失を積み上げていく。
一つの判断ミスで、十倍の手戻りが発生する。報連相の遅れで、大口顧客との信頼が揺らぐ。感情的な発言が、チーム全体の士気を引き下げる。そして離職が増え、新人が育たず、職場の空気が荒んでいく。
どれも〝じわじわと企業を弱らせる慢性病〟のようなものだ。
逆もまた真実である。基礎力の整った組織は、見違えるほど強くなる。
主体的に動く社員は、上司の指示を待たず期待に応える。考え抜く社員は、問題を自ら見つけ、解決策を携えて報告する。チームで動ける社員は、周囲と協調しながら成果を出す。
こうした人材が増えるだけで、組織は自走状態になる。
経営者が細部に口を出す必要がなくなり、本来の仕事に集中できる。
教育とは、火を灯す行為である。火のない若者は一生〝指示待ち〟のまま。火が弱い者は、放置すればすぐに消える。
だからこそ、火を灯し、燃やし続ける仕組みが必要なのだ。
多くの経営者は「教育は社員のため」と考える。
もちろん正解だが、こうも考えられる。
「教育」とは、企業を存続させるための戦略である。そのための社会的認知と顧客の創造を、企業一丸となって行うための投資である。
基礎力の高い社員には任せやすい。気が利き、段取りが良く、トラブルを早期に報告し、解決への道を描く。
こういう人材がいなければ、企業は永遠に〝社長依存〟から抜け出せない。
企業は人なり。だからこそ整える
経営とは、売上を追いかけることではない。
人をつくり、組織をつくることこそ、経営の本質である。売上は、その結果として自然に生まれる。
基礎力の低い人材を採用しても、企業の寿命は延びない。ただし、最初から基礎力の高い人材は稀である。基礎力の高い人材を一人育てれば、会社に十年分の価値をもたらす。その人は後輩を育て、組織の文化をつくり、企業の未来を支える柱になりうる。
教育を先送りすれば、企業の未来は確実に縮む。
逆に、教育に踏み込んだその日から組織は甦り始める。火が灯り、人が動き、文化が変わり、会社に勢いが戻る。企業に再び生命が宿るのだ。
教育を始めるかどうかは、経営者の覚悟で決まる。
経営者が決断しなければ、誰も決断しない。そして教育に踏み出した企業だけが生き残る。
企業は人で決まる。
人は基礎で決まる。
基礎を整えることこそ、経営者の務めであり、企業の命を守る行為である。
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社会人基礎力について調べ考えてみると、アイウィルの「習慣を変える」「考える力を伸ばす」「意識を高める」という三大目的は、経済産業省の提唱する社会人基礎力と強くリンクしている。
社会人基礎力は、若手がどれだけ専門知識を持っていても、行動しなければ、考えなければ、協力できなければ成果につながらないという現実から「働く力の土台」といえるだろう。
この土台を行動(習慣)・思考(考える力)・意識(姿勢)の三層から強化する。社会人基礎力の「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」を内側から支えるのだ。
それを十分踏まえ、開発したものが「アップステアセミナー」。(今より一段上に)
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